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巨樹めぐり秘話

                        ほんの数年前から、マスコミの影響もあって世界遺産認定の屋久島へ癒し癒しと観光客が押し寄せた。
                     まるで縄文杉に出合えるとご利益があるといわんばかりの登山の列が続く。そのうち、誰に聞いても
                     日本一巨大な木は縄文杉と答える人が大半を占めるようになった。
                     もうかなり古いが、1988年に環境省によって行われた巨樹・巨木林調査による上位50本のランキング
                     では縄文杉は第12位となっている。そしてベスト10のうち9本は九州本土に生息していることに注目した。
                     遠出もいいけど、もっと自分たちの庭を見てごらん!すごい生き物に出合えるよ!
                     そんな私の反骨精神から生まれた「九州の巨樹 100の絶景2」の撮影秘話です。


蒲生の大クス 鹿児島県姶良郡蒲生町 蒲生八幡神社
            樹高30m 幹周り24.2m 樹齢1500年 国指定天然記念物

皆さ~ん!この木こそ日本最大の巨樹ですよ~!
と・・・小さくてわからないかもしれないけど叫んでいる私が見えますか?
普通、老木はその老体を支え棒で固定されやっと立っている光景はよく見る。
しかし、大地にしっかり根を張り自力で立つ姿に出合うとパワーをもらえる。
ちっぽけな悩み事などでくよくよするな!と風の声が聞こえた・・・





大杵社の大杉 大分県由布市湯布院町  大杵社
           樹高35m 幹周り11m 樹齢1000年 国指定天然記念物

JR由布院駅からわずか1kmの住宅地の坂を上るとこんな立派な巨樹に会えるなんて想像していなかった。観光タクシーは時おりやってくるが、観光客は金鱗湖一帯に行くばかりで訪ねてくる人は少なくほとんど知られていないようだ。
社殿の奥に見える姿は、まるで怪獣の足のように見えた。柱を挟んで右半分が黒いのは過去2回も放火に遭っているためだが、害虫駆除の効果で益々樹勢を取り戻したという。その生命力は災い転じて福とする・・・願い事を3回まで聞いてくれるとタクシーの運転手さんが言ってた。







大杵社の大杉

やっぱり国指定の天然記念物はどこか気品がある。選定基準の詳細はわからないが、威厳と風格は半端じゃない。
全景を見ても素晴らしい枝ぶりと美しい幹周りに感激だ。









光円寺のシダレザクラ 大分県中津市耶馬溪大字深耶馬 光円寺
               樹高10m 幹周り3m 樹齢350年 市指定天然記念物

観光人気の一目八景から山間に入った静かな集落のお寺。小高い丘に立ち駐車場に向かって首を垂れる美しいシダレザクラ。京都や角館のシダレザクラ群にもひけを取らない美しさだ。
赤い支え棒一本が無数の花びらで隠れ画面いっぱいにフレーミングしてみた。








光円寺のシダレザクラ

通常、下から見上げるのでこういう姿が一般的に紹介される写真。
帰り道、温泉祭りの最中で町の人たちから温泉や食事を「遠慮せず自由に入って食べて行って!」と声かけられた。
都会で疲れた気分が、地元の人たちとふれあうだけで吹っ飛んだ気がした。









衣掛の森 福岡県糟屋郡宇美町 宇美八幡宮
           樹高20m 幹周り20m 樹齢1000年 国指定天然記念物

応神天皇が産湯を使う際、衣をこの樹に掛けたことから名付けられたというクスノキ。
クスノキもこれだけ巨大になると森と呼ばれる。ここにはもう一つの森がある。
湯蓋の森がそれだが樹齢も樹高も国指定であるところも同じ。
しかしこのクスを見上げていただきたい。大きな2本の足、両手を広げ天に向かって
吠える恐竜のような佇まい。
私は初代ウルトラマン世代、大の怪獣ファンだった。巨樹を見上げてわくわく感が増すとき少年時代に戻っているかもしれない。









大坪の一本桜 宮崎県東諸県郡国富町 
                   樹高15m 幹周り3.6m 樹齢150年 

この一本桜に撮影に行くときは晴天の雲一つない日であってほしかった。
天は我に味方した!と嬉しくなるほどの快晴。手前のタバコ畑を入れ広角レンズでワイド
に撮る。コントラストを少し上げ、赤い土とタバコの葉、桜と青空を強調する。
桜見物の人や軽トラ、周りの民家も入れて生活感のある構図にした。









有田のイチョウ佐賀県西松浦郡有田町 泉山弁財天神社
                樹高40m 幹周り9.3m 樹齢850年 国指定天然記念物

ご存知、有田の陶器祭りで有名なこの地区だがイチョウが色づく季節は意外と閑散。
この艶やかなモデルさんを独り占め気分で撮影した。
巨樹を巨樹らしくと、通常は幹周りを強調した写真をよく撮るが、樹高40mは半端なく
天に扇状に広がる様子をあえて広角レンズで遠くに置いて撮影してみた。
道と民家の屋根の奥行き感、無数に広がる枝をぎりぎりフレーミングしてほんの少し
青空を覗かせる。怪物は遠ざけても怪物なのだ。










櫛田の銀杏 福岡県福岡市博多区上川端町
              樹高23m 幹周り9.3m 樹齢1000年 県指定天然記念物

有名な博多祇園山笠のフィナーレ追い山が行なわれる境内にビルを飲み込むように
立っている。イチョウの木もこの前後の有田の大イチョウ、下城の大イチョウと比べると形の違いに驚かされる。ここは黄色い雪洞のような綺麗な円形。
あえて逆光で都心の日の出を表現してみた。







下城の大イチョウ 熊本県阿蘇郡小国町 
               樹高25m 幹周り9.6m 樹齢1000年 国指定天然記念物

このイチョウは中心部から爆発的に枝が広がるひこばえ型。対岸の下城の滝駐車場
付近から望遠で撮影した。通りすがる何人もの観光客の姿をレンズで追っていたら、
偶然3人が立ち止まり見上げてくれた。撮影開始後10分で訪れたシャッターチャンス
だった。








寂心さんのクス 熊本県熊本市北迫町
               樹高29m 幹周り13.3m 樹齢800年 県指定天然記念物

こんなに元気もりもり、筋肉隆々のクスノキには初めて出合った。800年という樹齢は
人間でいうと30代前半の働き盛りってところかなあ。四方に伸びる枝も普通の木の幹よりデカい!人と比較してもこのとおり!寂心さんの墓が根本に埋没してしまっているが、まるでタイのアユタヤのガジュマルに絡まれる仏像のようだ。
小高い丘に一人立ち、台風直撃にも負けず力強く生きている巨大クスに元気をもらいに行きましょう。








寂心さんのクス

老木の支え棒は普通一本ずつそえられているものだが、え~い面倒だ!という意味か鉄の橋桁が何本もの枝を支えていた。こんなの初めて見た。










村吉の天神さん 熊本県菊池市泗水町
              樹高20m 幹周り7.2m 樹齢不明 市指定天然記念物

本書の中で「どことなくグロテスク、何となくユーモラス」と表現した樹種はイチイガシ。
洪水で根元を洗い流され、根が大人の身長ほど地表に出てしまった。
村吉小学校跡に立つこの木は、根元でかくれんぼする子供たちのよき友達だったのだ。そのためか愛称で呼ばれるようになったらしい。
誰に聞いても場所がわからなかったが、近所のおばあちゃんに尋ねると
「ああ天神さんね」と教えてくれた。困ったときはおばあちゃんに聞く・・・鉄則です!
お相撲さんが土俵入りするようなポーズが可愛くて憎めない・・・そんな一風変わった
巨樹でした。









村吉の天神さん

小学校跡から森に入って最初に出合った姿。巨樹にも表と裏、お腹と背中があるようでこれだと何か背を向けてうなだれているようにしか見えない。
上の写真のように「どうだ!こんなもんで!」と得意がっている写真を撮ってあげましょうね。










赤崁樓のガジュマル  台湾 台南市

台湾など東南アジアに行くとガジュマルの巨木が多い。
福岡市のけやき通りのように街路樹にガジュマルが利用されていたり、一見グロテスクな姿だが地元では愛されているようだ。
外国で撮影する場合は後ろの赤い看板のように「台湾」などお国柄を少し入れて撮影するといい。しかしこのガジュマルさん、支え棒付なのでかなりの樹齢なのだろう。
大地にしっかり根を張るガジュマルで支え棒がある姿は逆に珍しい。





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